鍼灸師を目指すと決めたなら、スキルアップの方法についても知っておきたいですよね。
スキルアップをするには鍼灸師の資格以外でも取っておくと役立つ資格がいくつかあります。ここでは鍼灸師のスキルアップに役立つ資格4つを紹介していきます。
鍼灸師について
鍼灸師のスキルアップに役立つ資格とは
このページの内容
スキルアップに役立つ資格1:柔道整復師
鍼灸師の仕事は「はり」や「きゅう」を使って、健康回復や治療をおこなったりする職種です。東洋医学を基本としている鍼灸治療では、体の経穴(ツボ)を鍼で刺激を与えたり、灸で温めたりして、人間の自然治癒力を引き出して患部を改善させたり免疫力を高めたりしていきます。
鍼灸師とあわせて柔道整復師の医療系国家資格を取得することでスキルアップにつながるでしょう。
柔道整復師と鍼灸師の2つの資格(W資格)を取得すると7つのメリットがあります。
1、治療家としての幅が広がる。
筋肉などの外傷へのアプローチ(柔道整復)と、内臓やメンタルへのアプローチ(鍼灸)の2つの手技を併せ持つことができます。
2、東洋医学と西洋医学の視点を持てる。
東洋医学(鍼灸)と西洋医学(柔道整復)の双方の視点で患者様の役に立つことができます。
3、スポーツトレーナーに有利
鍼灸師と柔道整復師の知識と手技を活かして、応急処置からコンディショニングまで対応できるため、スポーツトレーナーとして活躍の場が拡がります。
4、保険外施術もできる
鍼灸師と柔道整復師それぞれの施設を用意して施術すれば保険内施術と保険外施術(自費診療)ができるため、独立開業した時に対応できる患者様が拡がります。
5、将来の就職に有利
2つの資格を併せ持つと就職する時に求人数が多くなり、待遇面でも条件が有利になることがあります。
6、国家試験の合格率が上がる
鍼灸師と柔道整復師の国家試験では「解剖学」や「生理学」などの難関科目が共通しているため、2つの科目の理解度が上がり、国家試験での合格率がアップします。
7、医療業界での人脈が広がる
鍼灸師と柔道整復師の双方の治療家とコミュニケーションが取れるため、医療業界でのネットワークが広がります。
このように鍼灸師と柔道整復師の2つの医療系国家資格を併せ持つことで東洋医学と西洋医学のアプローチができるため、患者様に合わせた施術ができるのです。
スキルアップに役立つ資格2:あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和22年法律217号)で、「あはき法」と略されて呼ばれています。また、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格のすべてを持っている人のことを「三寮師(さんりょうし)」とも言われています。
あん摩マッサージ指圧師の登録事務は財団法人東洋療法研修試験財団がおこなっており、おもな業はあん摩、マッサージ、指圧の各手技(なでる・押す・揉む・叩くなど)を用いて人体の変調を改善する施術者です。
鍼灸師と併せ持つことで、鍼灸マッサージ院として独立開業ができたり、オイルマッサージやリハビリマッサージを学ぶことで治療の幅や活躍できる場が広がります。
あん摩マッサージ指圧師は、鍼灸師や柔道整復師と同じく国家資格のため、養成施設と認可を受けた学校に通う必要があります。最低でも3年間学ばなければ国家試験受験資格は与えられません。鍼灸師と同時に学べる学校を「本科」、鍼灸師のみを目指す学校を「専科」と呼ぶことがあります。学校選びのときに参考にしてください。
スキルアップに役立つ資格3:健康管理士一般指導員
健康管理士一般指導員は文部科学省後援の「健康管理能力検定1級」の資格を取得することで、健康管理に関する正しい知識を得ることはできるため、鍼灸師として患者様に心と体の両面から健康管理指導ができるやめ、信頼関係の構築やコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。
受講対策講座は厚生労働大臣指定講座もあり教育訓練給付制度が利用できもあるため、鍼灸師として働きながらスキルアップできる資格です。
スキルアップに役立つ資格4:アロマセラピスト
アロマセラピストとは、プロのアロマセラピストとして、一般の方にアロマテラピートリートメントやコンサルテーションを実践できる能力を認定する資格です。
精油の専門知識に加えて、解剖生理学や皮膚科学に関する知識、トリートメントの技術などを習得して、ボディーやフェイスへのアロマテラピートリートメントやコンサルテーションを提供できます。また、アロマテラピー検定には1級や2級などがあります。
鍼灸師としての知識や技術のほかに、癒しとなるアロマテラピートリートメントが提供できると患者様に喜んでいだだける機会も増えて、サービス向上にもつながるのではないでいでしょうか。実際にアロマ鍼灸を用いて「美容鍼灸サロン」を経営している鍼灸師もいます。
スキルアップに役立つ資格(番外編):推拿(すいな)
最後にご紹介する「推拿(すいな)」は資格ではなく、治療医療のことです。
推拿は4000年の歴史を誇る中国の治療医療で、「整体最高峰の推拿療法」として、中国では医療として公式に認められています。
まさに中国が本場である鍼灸とは親和性のあるものと言えるでしょう。
本場中国の大学病院では、鍼灸科とともに推拿科が設けられ、医療資格を持った推拿医師が整形外科だけでなく、内科系、婦人科系、小児科系疾患などの幅広い分野で活躍しています。
推拿は、「鍼灸」「漢方」と並ぶ三大療法の一つとされていて、中国公式の医学療法です。
推拿は、医療器具を使わずに疾患や治療・予防をする手技療法です。
中医学的な四診法(望診・聞診・問診・切診)によって証(診断)をたてて、患部をつかさどる五臓六腑の関連経路を選択して、経穴に刺激を与えて痛みや緊張を取り除きます。
他の整体に比べると多くの手技があったり、独特の柔らかい手技、体質や症状にあわせた治療ができることも特徴です。
鍼灸師と同じく中国発祥の手技を勉強して、鍼灸師としてスキルアップを目指すのもいいでしょう。
以上、鍼灸師としてスキルアップに役立つ資格3つと番外編を紹介してきました。どれもスキルアップに役立つ資格です。鍼灸師と同じく国家資格であったり民間資格であったり、また手技であったり、スキルアップの方法はさまざまあります。
ただし、1つ注意しなくてはならないことがあります。それは、資格を取ることがゴールではないということです。資格や手技を勉強していく中で得た知識や技術を活かして、実際に患者様に対面したときに質の高いサポートができることが大切です。鍼灸師として目の前で痛みや不調に悩んでいる患者様に信頼していただける医療人として活躍できることを念頭に置いて資格取得を目指していきましょう。
【監修者】
本校柔道整復学科 専任教員 大橋理那
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