鍼灸師について

鍼灸師として独立開業はできる?

「はり師」「きゅう師」の国家資格を取得している鍼灸師は、開業をすることが認められています。

独立開業をして成功するためには、施術技術はもちろん、経営的な知識やスキルも必要になります。

独立開業ができる医療系の国家資格

独立開業ができる医療系の国家資格には以下があります。

医師・歯科医師・獣医師・薬剤師・助産師・柔道整復師・鍼灸師(はり師・きゅう師)・あん摩マッサージ指圧師

代表的なところでは医師や歯科医師、薬剤師といった資格がありますが、6年間(4,500時間以上)の専門教育を受けて国家試験に合格する必要があるため、これらの資格を取得するのは、非常にハードルが高くなります。
鍼灸師は、同じ医療系国家資格でありながら、3年間以上の専門教育を受けて国家試験に合格すれば取得できるため、他の国家資格に比べ、比較的取得しやすいといえます。

開業するには

鍼灸師の資格を取得すると、開業権(開業する権利)が与えられます。条件が整えば開業をすることが可能ですが、その際には様々な規定を満たしたうえで、店舗を置く住所の都道府県知事へ届出をする必要があります。
開業をするための規定としては、例えば鍼灸院の店舗となる建物に構造設備の基準を満たした専用の施術室や待合室があるか、消毒機材や手洗い場などの清潔を保つための設備は整っているか等といった決まりがあります。そういったいくつかの基準を満たしていなければ、鍼灸院を開業することはできません。将来、開業することを考えている方は、あらかじめどのような条件があるのか、必要な手続きは何か等、あらかじめ把握しておくことが望ましいでしょう。

独立開業して成功するのは簡単なことではありませんが、そのメリットは大きいといえます。従業員として働いていた時と比べて、収入の増加が見込めますし、経営者ならではの充実感やモチベーションを持って働くことができます。

鍼灸治療院の開業に必要なもの

では、鍼灸院を開業するにはどのようなものが必要なのでしょうか。費用の面からいえば、物件を借りて鍼灸院を開業する場合、一般的な相場としてはおよそ300万~500万円ほどの費用がかかるといわれています。

鍼灸院をオープンする際に必要な主な準備は以下のようなものがあります。

1. 構造設備基準を満たす施術室と待合室が作れる物件
2. 消毒機材・手洗い場などの清潔を保つための設備
3. 施術台・枕やタオルケットなどの備品
4. 待合室のイスやスリッパなどの備品
5. 受付台・電話・会計に必要な機器
6. 鍼を管理するための収納用品
7. 一般廃棄物と感染性廃棄物を分別するためのごみ箱
8. カーテンやブラインド
9. 患者情報を管理するためのパソコンや鍵付きロッカーなど
10. 看板
11. ホームページ

施術室と待合室に必要な面積の規定等もあるため、構造設備基準に関するものは、あらかじめ保健所で相談してみることをおすすめします。構造設備基準を満たした店舗を準備できたら、市町村役場へ施設所開設届を提出後、所管する保健所の現地確認調査を受け、認められてはじめて開業することができるのです。

開業する際に気をつけなければならないのが、初年度にかかる費用です。開業してから安定した売り上げが得られるまでには一定の期間がかかることがほとんどのため、余裕を持った運営資金を確保しておくことが望ましいでしょう。

訪問治療という働き方もできる

鍼灸師として独立開業する方法は鍼灸院を開設するだけではありません。鍼灸師は患者様の自宅に訪問して施術した場合も保険診療として認められているため、訪問治療をおこなう出張専門の鍼灸師として開業することも可能です。

出張専門の鍼灸師として開業するためには、自宅住所を所管する保健所に届出をする必要があります。鍼灸院の開設と比べると、施設にかかる費用の負担もないため、比較的低予算で独立開業することができます。

【監修者】

本校鍼灸学科 専任教員 青木春美

鍼灸師

本校鍼灸学科 専任教員 青木春美
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