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川崎先生コラム 第7弾「柔道整復師が診る野球肘」

2021/05/21

今回はスポーツ障害の一つ、野球肘についてお話し致します。
最近は、MLBのロサンゼルス・エンゼルス所属の大谷翔平選手の話題で盛り上がっていますね。ピッチャーとバッターを両立する二刀流選手として活躍していますが、一時期は肘の怪我でトミー・ジョンソン手術(内側側副靭帯再建術)をうけ、深刻な状態でした。投手としては大打撃で選手生命にも関わってきます。今でも完全とは言われていませんが、ケガを克服して大活躍をしています。その裏では、コーチやチームトレーナーが一丸となって復帰を支えていたそうです。私たち柔道整復師もトレーナーとしてまた治療院などで選手の支えとなり輝けるようにサポートしていく重要な仕事を担っています。

野球肘とは

野球の投球による肘部の障害を総称して野球肘といいます。特に10~16歳の成長期(少年期)に好発し、過度な投球(投球数)や不十分な身体機能、肘関節に負担のかかる投球フォームなど投球に関わる様々な要因により発生します。また、成人と成長期の子供で起きる障害は異なります。特に、成長期の子供の骨や軟骨は弱いため投球動作の繰り返し(オーバーユース)により野球肘が起こりやすくなります。

野球肘の障害の分類
①内側型:投球のコッキング期(肩関節外転・最大外旋位をとる時期)に、肘の内側部に強い外反力が加わり内側側副靭帯の牽引力で損傷します。内側側副靭帯損傷、内側上顆炎、内側上顆の裂離骨折、骨端線裂離などを発症します。

②外側型:投球の加速期(最大外転・外旋位からボールが離れるまでの時期)に、肘の内側部に強い外反力と、主に肘の外側部に過度の圧迫が加わり損傷します。10代前半の年齢では離断性骨軟骨炎を発症し、部分的に関節軟骨の一部が軟骨下骨とともに剥がれ落ち、剥がれた軟骨が関節内に遊離体として存在するとロッキングが生じ可動域制限が生じたりします。重傷化すると予後が悪く手術療法となったり長期に治療が必要となることがあります。

③後方型:フォロースルー期(肩関節最大内旋位をとる時期)に、肘関節が過伸展となり肘関節の後方部分を損傷します。肘関節の後方にインピンジメントが起こり、成長期では肘頭の骨端線閉鎖障害を生じる原因となったり、成人では疲労骨折や上腕三頭筋炎などを発生します。

治療について

野球肘になった場合は、投球動作を中止し、肘へのストレスを欠けないことが最も重要です。保存療法期間は約3ヶ月程度となりますが、1ヶ月程度で軽い投球練習は再開できる場合もあります。骨への損傷が診られなければ初期の段階で安静にすることで改善します。重傷化すると長期に渡って投球動作ができなくなり、場合によっては手術が必要になることをしっかりと理解してもらうことが大切です。
投球中止の時期は、ストレッチなど負荷をかけないリハビリを行っていきます。また、下半身や体幹、肩周囲の柔軟性や筋力強化を行いながら、症状の回復に合わせて徐々に肘周囲の筋力強化、投球動作の確認・改善などを行っていきます。特に内側上顆から起始する前腕の筋肉は外反制動作用に関連することから肘関節の運動療法では重要な筋力強化のポイントとなります。
休むことも練習であることを良く理解してもらい、競技生命を延ばしてあげられるサポ-トが必要です。
治療期間にフォームの修正などの問題を解決していき、再発しないためにどうするべきかを考える時間としてリハビリに取組むことが競技復帰には必要なことです。治療から復帰までのリハビリスケジュールをしっかりと立ててあげましょう。

柔道整復師・鍼灸師 本校柔道整復学科専任教員 川﨑有子先生監修

大谷選手、カッコいいですね~。あの肩から上腕にかけての筋肉バランスが素晴らしい!!と思いながらいつもテレビで観ています。私も柔道整復師と鍼灸師の二刀流で患者様のために日々努力したいと思っています。頑張るぞ~(*^O^*)♡

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