柔道整復学科 BLOG

【柔道整復学科・川崎先生コラム】エンタメの光と影を支える柔道整復師~エンタメトレーナー~

2025/08/07

こんにちは!
日本医専の広報担当です。

柔道整復学科 川﨑先生コラムの第66弾をお届けいたします!

エンターテインメントの世界は、観客に夢と感動を与える一方で、その華やかなスポットライトの裏には、パフォーマーや裏方スタッフが計り知れない努力と過酷な身体的負担を負っています。

ダンサーの激しい動き、役者の長時間の稽古、ミュージシャンの楽器による特定の筋肉への負担など、彼らの身体には想像以上の負荷がかかるものです。
こうした特殊な環境下で、その専門知識と技術を活かし、「エンタメトレーナー」として活躍する柔道整復師の存在は、まだ広く知られていません。単にケガを治療するだけでなく、エンタメ業界特有の身体的課題に寄り添い、パフォーマンスの維持向上、そして何よりも長く輝き続けるための身体づくりをサポートしています。

知られざる「エンタメトレーナー」の存在

エンタメ現場では、急なケガへの対応はもちろんのこと、パフォーマンスの向上、慢性的な痛みの緩和、そしてケガの予防まで、幅広い知識と技術が求められます。
柔道整復師の最大の強みは、骨折・脱臼・捻挫・打撲・筋腱の損傷といったケガに対する施術が行なえる専門家である点と、様々な手技による丁寧な施術によって個々に合わせたきめ細やかなサポートが可能である点です。

例えば、舞台稽古中に捻挫をしてしまったダンサーがいたとします。
柔道整復師は患部の状態を正確に判断し、適切な処置を施すことで早期回復を促し、舞台復帰を強力にサポートします。
また、長時間の練習で肩や腰に慢性的な痛みを感じている役者に対しては、痛みの原因を特定し、手技による施術や運動療法、さらには日常生活での指導を通じて根本的な改善を図ります。

柔道整復師は、エンターテインメントを「身体」の面から支え、パフォーマーたちが最高のパフォーマンスを発揮できるようサポートすることで、感動を生み出す源となっています。
エンタメ業界の現場において柔道整復師の存在は不可欠な職業です。

豪華客船を彩るダンサーの心身をサポート!

飛鳥Ⅲで活躍されているダンサーさんのコンディショニングケアに行ってきました。
華やかなステージの裏側では、ダンサーの皆さんは想像以上の身体的・精神的負担を抱えています。

そのため、今回のケアでは単に身体のメンテナンスを行うだけでなく、多岐にわたる問題への対応を重視しました。

  • 身体的ケア:パフォーマンス向上のためのコンディショニング、ケガ予防のための身体の使い方、そしてご自身で実践できるテーピングの方法など。
  • 心理的負担のケア:長期にわたる船上生活や、常に最高のパフォーマンスを求められるプレッシャーに対するメンタルヘルスサポート。
  • セルフメンテナンスの知識指導:ご自身で身体のケアができるよう、ストレッチや筋膜リリースなどの具体的な方法。

飛鳥Ⅲという特別な環境で活躍されるダンサーの皆さんが最高のパフォーマンスを維持できるよう、心身両面からのリカバリー方法をダンサーさんと一緒に考えながらサポートしてきました。

実際に舞台も拝見し、特殊な振付けによる負担が大きいことを実感しました。この経験を通じて、様々な分野の治療に対応できる能力が、エンタメトレーナーには必須であることを改めて認識しました。
また、ダンサーさんにおいても柔道整復師という職業の魅力を実感してくれて、引退後に進むセカンドキャリアとして資格を取得したいというお話がありました。

エンタメ関係者が抱える主な身体的問題(職業別)

1.ダンサー・振付師
【身体的問題】股関節や膝、足関節の痛み、腰痛、疲労骨折、腱鞘炎、捻挫や肉離れなど
【柔道整復師の役割】ケガの応急処置、関節可動域の改善、正しい身体の使い方指導、
パフォーマンス向上のためのコンディショニングなど

2.役者・声優
【身体的問題】肩こり、腰痛、頚部痛、膝痛、捻挫や打撲など
【柔道整復師の役割】慢性的な痛みの緩和、姿勢改善、疲労回復、身体の使い方指導など

3.ミュージシャン
【身体的問題】肩、腕、指の痛み、腱鞘炎、首・肩こりなど
【柔道整復師の役割】演奏で生じる特定部位の痛みの緩和、フォーム改善のアドバイス、疲労回復など

4.テーマパークの舞台
【身体的問題】着ぐるみによる首、肩、腰、膝の痛み、反復動作による疲労、捻挫や打撲など
【柔道整復師の役割】疲労回復、身体ケア、ケガの応急処置、負荷の少ない動き方指導など

5.アクション・スタント現場
【身体的問題】打撲、捻挫、骨折、脱臼、首、肩、腰、膝の痛み、全身の疲労など
【柔道整復師の役割】身体能力を引き出すコンディショニング、ウォーミングアップ指導、テーピング指導
ケガの処置・予防、リハビリテーションなど

6.裏方スタッフ(舞台監督、照明、音響など)
【身体的問題】腰痛、肩こり、膝痛、全身の疲労など
【柔道整復師の役割】身体のメンテナンス、疲労回復、姿勢アドバイスなど

ダンサー出身の柔道整復師が拓く未来

ダンサーとしての経験と柔道整復師としての専門性を併せ持つ人材は、まさにエンタメ業界が待ち望んでいた存在です。

彼らは、パフォーマーのケガの治療だけでなく、パフォーマンス向上のためのコンディショニング、キャリアを長く続けるための身体管理、さらには若手ダンサーの育成現場での指導など、多岐にわたる分野で活躍する可能性を秘めています。
かつて自らの身体を支え、表現を可能にしたその手から繰り出される施術は、単なる手技に留まらず、患者であるパフォーマーの身体と心に深く響くものになるでしょう。

「ダンサーから柔道整復師へ」身体の極限を知る者が、その知識と経験をエンタメ業界へ還元していくことは、大きな社会貢献であり、彼らにとって新たな自己表現の始まりとなるはずです。

終わりに

エンターテインメント業界における身体の問題は、単なるケガや疲労に限りません。
その特殊な環境ゆえに、より深く、そして見過ごされてしまいがちな問題が数多く存在します。

「魅せる身体」を追求するあまり健康を犠牲にしてしまうケースや、見えないストレスの蓄積が身体に様々な形で現れることも珍しくありません。

また、現役時代だけでなく、引退後の身体的問題まで見据えた長期的なケアも考えていく必要があります。
私たち柔道整復師は、目の前の痛みに向き合うだけでなく、その背景にある原因を深く理解し、エンターテインメントへの深い共感を持ち続けることが何よりも大切だと考えています。
パフォーマーの皆さんが安心して輝き続けられるよう、これからも心身両面から支えてまいります。

柔道整復師・鍼灸師
本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子

記事一覧へ戻る

新着記事

OpenCampus/ Event オープンキャンパス・
イベント

平日も土日祝も開催
ご自身の興味や都合に合わせて参加できます
まずは気軽に体験してください

Request 資料請求

パンフレットや募集要項を無料でお届けします
お気軽にお申し込みください