【コラム】心の病に対する鍼灸治療の効果とは?
2020/02/04
こんにちは、日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です!
先進7カ国において自殺率の高さが際立っている日本。
なかでも若い世代(20~30代)の死因の第1位が自殺であることは大きな問題となっています。とくに冬に起きやすい健康上の問題として「うつ病」が挙げられます。実際に冬はうつが悪化しやすく「冬季うつ病」(季節性感情障害)といわれる症状も起こりやすいのです。
ここでは、うつ病などの心の病と東洋医学の考え方に基づいた鍼灸治療についてご紹介しましょう。
1、うつ病とは?
人はだれでも日常生活のなかで気持ちが落ち込んだり、憂鬱な気分になったりすることがあります。通常はこの気分が数日もすると回復できてきて、またがんばろうと立ち直れる力を持っています。
ところが時に、問題が解決したのに気持ちが沈んだままで、時間が経過しても気分が回復せず強い憂鬱感や不安感に苛まれることがあります。そのことで普段通りの生活を送ることが難しくなります。これがうつ病です。
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なるなど様々な理由から脳の機能障害が起きている状態と考えられます。脳がうまく調和してくれないことによって、いつもならば乗り越えられることもストレスに感じ、つらくなり、悪循環が起きてしまうのです。
日本では、100人に対して3人以上という割合でこれまでにうつ病を経験した人がいるという調査結果もあります。つまり誰もがなり得る心の病と言えるでしょう。
【うつ状態を呈する要因の代表的なもの】
・一時的な心理的ストレスに起因するもの
(心因性のうつ、適応障害、急性ストレス障害、PTSDなど)
・双極性障害、統合失調症、自律神経失調症、パニック障害などの他の疾患の症状
・季節や生体リズム、身体内部の変調によって生じるもの(内因性うつ病)
・中枢神経系(脳血管障害、パーキンソン病、脳腫瘍など)
・内分泌系(副腎疾患、甲状腺疾患、副甲状腺疾患など)
・炎症性疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)
・歯科治療用重金中毒
2、うつ病の原因・症状
1、うつ病の原因
うつ病は、まだわからないことが多い病気です。脳神経の情報を伝達する物質の量が減るなど、脳の機能に異常が生じていると同時に、その人がもともと持っているうつ病になりやすい性質やストレス、身体の病気、環境の変化など生活の中のさまざまな要因が重なって発病すると考えられています。人間関係や環境の変化などがきっかけとなることがあります。
さらに、それらの悩みを誰にも相談できずに一人で抱え込んだりすると、実際以上に強くストレスを感じ、そして周りのサポートは役に立たないと思えてしまうため悪循環に陥り、うつ病の発病につながることが多いようです。
2、うつ病の症状
うつ病と診断する目安として、次のような症状があげられます。内いくつかの症状が続くようであれば、うつ病のサインかもしれません。
・抑うつ気分(憂鬱、気分が重い)
・何をしても楽しくない、何も興味が湧かない、これまで楽しかったことをしても楽しくない
・イライラして、何かにせきたてられたようで落ち着かない
・自分を責めたり、自分に価値がないと感じる
・思考力、集中力、記憶力が落ちる
・不眠
・死にたくなる など
そして、周囲からみてもわかる変化があります。具体的には以下の変化が挙げられます。
・ボーっとしていることが多くなり、口数が少なくなる
・学校、会社などが休みがちになったり、不登校になったりする
・表情が暗い
・反応が遅い
・飲酒量が増える
・人付き合いが悪くなる、避けるようになる
・食欲がない など
3、東洋医学における心の不調とは
うつ病などのいわゆる心の病は、西洋医学では脳機能に原因があるとされています。
一方で近年、心の病に対する鍼灸治療の効果も注目されています。服薬して体内で効くような薬とは違い、東洋医学の考え方を知らないと「心の病気を鍼灸で治す」と聞いてもピンとこない人もいらっしゃるかもしれません。
東洋医学では、「気を調えるために、独特の診断診療をおこない、漢方や経絡経穴を用いて治療をおこなうこと」を基本的な考え方としています。ですので、東洋医学では、身体を巡っている気(エネルギー)の流れが悪かったり、質が悪いことで病気になると考えます。
西洋医学では「脳」が精神活動を支配しているとされていますが、東洋医学の考え方では精神を支配するのは「心」です。東洋医学が脳の存在を無視しているわけではなく、脳もしっかり臓腑として認識しています。精神的な問題が「心」と関係のある部位に反応として表れやすいという経験からも「心と精神」の関係が言われているのかもしれません。例えば、緊張すると手のひらに汗をかき、心臓がドキドキします。「緊張したら手のひらに人という文字を書くと落ち着く」というのも「心のツボ」への刺激だったりもします。
4、心の不調時、精神安定に聞くツボ
うつ病など心に不調があるときに、精神安定に有効とされるツボ(経穴)をご紹介しましょう。
・百会…正中線上、両耳の穴を結んだところ
・神庭…正中線上、髪の生え際
・印堂…正中線上、眉間
・神門…手首の内側のしわで小指側
・失眠…かかとの中央
鍼灸をはじめて受ける場合は、恐怖心をもたないように接触鍼や細い鍼による弱い刺激、またシールタイプの置き鍼などを使用して心に有効なツボを鍼灸で治療します。
また、東洋医学では鍼灸治療だけでなく、漢方、薬膳、運動などを含めた身体への総合アプローチをおこなうこともあります。
機能、つまり気の状態を調えるために、栄養状態の改善、気の流れの改善を並行しておこない、「いい塩梅」となることが心身ともに健康といえるでしょう。
なんだか心の雲がかかってきた、気分やモヤモヤする、うつ病かなと心配…などで悩まれている方は、
一度鍼灸院に相談されてみてはいかがでしょうか?
【監修】
学科長 青木 春美先生(楊 春紅先生)
鍼灸師(日本)・鍼灸師(中国免許)・民間資格エステ(ナリス化粧品) 取得
美容鍼灸・卒後研究(中国鍼灸)中医学・中国語 専門
青木鍼灸あんま治療院 開業
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