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川﨑先生コラム 第36弾「ヒザが痛い!ヒアルロン酸注射は効果があるの?」

2023/04/28

こんにちは!
日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。
川﨑先生コラムの第36弾をお届けいたします!

ヒザが痛い!ヒアルロン酸注射は効果があるの?

ヒアルロン酸という言葉はよく聞くと思います。

多くは、変形性膝関節症の痛みの緩和治療として使用されていますが、その他、美容分野でもしわのたるみ改善に使用されていたりします。

接骨院でも患者様から「整形外科でヒアルロン酸の注射をしてもらっているが続ければ痛みが取れるのか?」と聞かれることが多くあります。

変形性関節症の治療の一つとして、「なぜヒアルロン酸注射をするのか、効果があるのか」をお話したいと思います。

1.ヒアルロン酸とは

ヒアルロン酸は目(硝子体)・皮膚・関節など体の各部位にあり様々な役割を担っています。

ヒアルロン酸は糖の仲間で、アセチルグルコサミンとグルクロン酸という糖が結合してできています。

グルコサミンやコンドロイチンなどテレビのサプリメントのCMなど聞いたことがあると思います。

ヒアルロン酸の材料となるのがグルコサミンで軟骨の構成成分でもあります。

グルコサミンは粘性のある物質で潤いと弾力を持った組織に多く含まれています。

体内のヒアルロン酸量は40代後半から減少していくことがわかっており、高齢になるほどヒアルロン酸の分泌量が減り、関節に負担がかかることで痛みの原因となります。

そして、進行すると変形性膝関節症になってしまいます。

2.ヒアルロン酸の作用は

1. 衝撃を吸収し、痛みや炎症の緩和。
2. 関節運動を滑らかにする。
3. 軟骨を保護し栄養を与える。
4. 関節軟骨の弾性を高める。

3.ヒアルロン酸注射の適応疾患

ヒアルロン酸注射を適応する疾患は、関節リウマチにおける膝関節痛肩関節周囲炎そして変形性膝関節症です。

だいたい、65歳以上の年齢で適応となります。

4.関節の構造と機能について

骨と骨の間に関節が構成されていますが、骨の表面を硝子軟骨という軟骨組織が覆っています。

硝子軟骨組織はコラーゲンとグルコサミン・プロテオグリカン・コンドロイチンなどを含む糖タンパクと軟骨細胞で構成されています。

コラーゲンは強度を与え、グルコサミンやプロテオグリカンなどは、水を引き付けて潤滑性を保つ働きがあります。

関節軟骨の厚さは平均2~4mm程度です。

そして、関節は関節軟骨に負担がかからないように関節液に満たされています。

関節液の主成分はヒアルロン酸で、関節を包んでいる滑膜(関節包)から分泌され、関節の潤滑と軟骨の栄養を担っています。

分泌量は0.1~3.5ml程度分泌されます。

その分泌は自律神経によって調節され一定にコントロールされ保たれています。

関節軟骨は、血管や神経が分布していないため軟骨の栄養は関節液から吸収することで維持しています。

関節液の吸収は、関節運動による負荷で関節軟骨内の軟骨細胞まで吸収されていきます。

5.ヒアルロン酸注射の効果は

関節の構造と機能でお話した通り、関節の潤滑、保護、軟骨の栄養はヒアルロン酸を含む関節液が担っています。

年齢とともにその分泌量が減少し、ヒアルロン酸濃度も低下すると滑らかさや弾力性が失われていきます。

そして、関節への負荷が増大し関節軟骨がすり減り摩耗してしまいます。

そこで、ヒアルロン酸を補うことで関節内の環境を整えて関節液の働きを正常にして炎症を抑えます。

ヒアルロン酸注射は、1回25mgを1週間ごとに連続5回を投与していきます。

ヒアルロン酸注射の効果は長く持ちません。

効果の持続期間は1〜2週間程度です。

6.ヒアルロン酸注射による落とし穴

ヒアルロン酸を投与すると、関節内の環境が改善されて、一時的に痛みが緩和されます。

それにより、関節を酷使して悪化させてしまうことがあります

つまり、治っていないのに痛みだけ感じにくい状態なので、ひざを酷使しやすい危険な状態と言えます。

ヒアルロン酸注射は対症療法であり、根本的な解決にならないことは十分に理解してほしいと思います。

大切なのは、ヒアルロン酸注射と運動療法を組み合わせて環境と関節の支持性を高めることが必要です。

7.再生医療に期待

今、世界でも注目されているのがPRP(多血小板血漿)療法です。

自分の血液中の血小板の成分だけを高い濃度で抽出して、患部に直接的に注射する方法です。

スポーツなどによる肘や膝の痛み、腱や筋肉の損傷などに対して、ステロイド剤を使わない新しい治療法として注目が高まっています。

プロ野球選手の田中将大選手やロサンゼルス エンゼルスの大谷翔平選手が右肘の靱帯損傷に対して、「PRP療法」を行なったことはよく知られています。

血小板に含まれる成長因子により損傷した組織を修復また再生させることができ、さらに治療期間を短縮できるためスポーツへの復帰が早くなります。

血小板は、血液凝固作用があるものでかさぶたを形成したりする役割をしていますが、成長因子の種類によってコラーゲン・ヒアルロン酸の産生や血管の新生、骨細胞を刺激するなど組織の修復や細胞増殖を促進する働きもしているので自然治癒力が高まります。

本来なら手術をする必要があるようなケガでもその必要がなくなる可能性があり、変形性関節症に対する腫れや痛みの緩和に対しても期待されています。

すでにヒアルロン酸注射を受けているにも関わらず十分な効果が得られない場合や人工関節を検討している場合は、関節機能そのものの回復が期待できるPRP療法の再生医療を考えてみるのも選択肢の一つです。

柔道整復師・鍼灸師
本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子

 

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