【川﨑先生コラム】夏の筋損傷・熱中症に注意!
2023/08/01
こんにちは!
日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。
川﨑先生コラムの第40弾をお届けいたします!
夏の筋損傷・熱中症に注意!
猛暑日が続きますね。熱中症どころか命に係わる暑さです。
こんな暑いときに運動をすると、体内水分が不足して筋痙攣や肉離れを引き起こしたり、ひどい場合は横紋筋融解症という筋肉の細胞が壊死を起こす病気になってしまうことがあります。
室内でも脱水が起きやすいため、こまめに水分補給をする心がけをしてください。
また、炎天下での飲酒は脱水を引き起こしやすいため海水浴やキャンプ、スポーツ観戦など屋外活動での飲酒は気を付ける必要があります。
●夏の筋損傷の原因
暑いと体温バランスを保つために汗をかきます。
汗をかくと水分が失われるだけでなく塩分も失われます。
塩は人間の体内で、塩化物イオンとナトリウムイオンに分かれて存在しています。
酸素や栄養を細胞に運んだり、脳や体の神経細胞の伝達をしたり、栄養の吸収や消化を助けるなど、生きていくために欠かせない働きを担っています。
そして、人の体液は水ではなく電解質(イオン)を多く含みます。
電解質(イオン)には、ナトリウムやクロール、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがあり、ミネラルに属します。
水分補給をして水分を吸収・保持し、細胞中にしっかりと送るためには電解質が必要です。
電解質を含まない水やお茶を飲んでも喉は潤いますが水分は蓄えられません。
カリウムは筋細胞と神経へ酸素を送り、筋の興奮の調節に関与しています。
ナトリウムは筋の収縮や弛緩の調節に関与しています。
だから、普段より多く汗をかくとナトリウムやカリウムが不足して、ふらつきや筋痙攣などを引き起こし運動中の筋収縮バランスが崩れ筋損傷を引き起こします。
また、心筋の刺激にも関わるため不整脈を引き起こすことがあります。
その他、筋疲労の蓄積や筋肉痛の原因にもなるため電解質はとても大切な要素です。
●筋損傷の種類
①肉離れ
肉離れは、外傷性筋損傷の一つで、運動中に筋の収縮力(遠心性収縮・求心性収縮)や筋の強度を上回った場合に損傷することがあります。
特に、遠心性収縮時(筋が収縮している状態から過度に引き伸ばされる状態)に起こりやすく、筋の柔軟性低下や筋疲労の蓄積などが基礎要素として関与します。
肉離れを起こしやすい部位は、大腿後面の筋肉(ハムストリングス)やふくらはぎ(腓腹筋)です。
②筋痙攣
筋痙攣とは筋肉がつることです。
一時的で時間的にも短時間の持続ですが、筋が強く収縮するため運動が突然障害され疼痛が生じます。
運動中だけでなく安静時や睡眠時にも発生することがあり、ふくらはぎや足の指がつるなどがよく見られる症状です。
筋疲労や、電解質の不足、冷えなどの循環障害などが基礎要因として起こることがあります。
③急性疼痛性頸部拘縮(寝違え)
寝違えは不自然な姿勢で就寝するなど片側の筋のみ高度に伸長した状態が長時間続いたりして筋損傷を引き起こします。
多くは、起床時に痛くなり、数時間から数日で痛みが改善されます。
枕が合わないなど寝ている姿勢が原因と考えられやすいですが、もとは筋疲労による循環障害が基礎要因としてあります。
④遅発性筋痛と即発性筋痛(いわゆる筋肉痛)
筋肉痛は、肉離れのごく軽いものと考えられており、筋線維や筋膜に炎症が起きたものです。
筋肉痛の多くは、筋肉の耐久力を超えた運動をすることによって生じます。
負荷の大きな運動や長時間の運動など自分の筋肉が耐えられるレベルを超えると筋肉痛になります。
以前は、筋疲労により循環が悪くなることで乳酸という疲労物質が蓄積して発生すると言われていましたが、現在では乳酸は疲労物質ではないと研究で確認されています。
筋肉痛は傷んだ筋線維を修復する過程で炎症反応が生じ、痛みを生む刺激物質(ブラジキニンなど)が生成されることで痛みを生じます。
即発性筋痛は、運動直後や運動中に起こる筋肉の痛みで電解質が失われ筋の緊張状態が続くことで起こります。
遅発性筋痛は、運動して数時間から数日後に起こる筋肉痛で、一般的に筋肉痛といわれるものです。
筋肉を伸ばしながら力を出すような繰り返しの運動では遅発性筋痛が生じやすいと言われています。
歳をとると忘れた頃に痛みを感じるという説がありますが、医学的な根拠はありませんが、筋力が弱い人や歳をとっている人は筋肉内の毛細血管が発達しておらず筋線維の修復や痛みを取り除く過程に時間がかかるため忘れた頃に・・・・ということになります。
⑤横紋筋融解症
横紋筋融解症は熱中症で起こることがあり死につながる最も注意が必要なものです。
熱中症で体温調節が行えなくなり、深部体温(体内の深部)が40度を超えると筋肉の壊死・変性が起き、筋肉の細胞中に含まれている電解質やタンパク質(ミオグロビン)などの成分が血液中に流出することで四肢の脱力やしびれ、筋肉の痛み、硬直、腫脹、血尿などの症状が起こります。
重症では腎不全や呼吸困難、心不全につながる怖い病気です。
スポーツにおけるハードなトレーニングやマラソンなどで長時間筋肉を酷使した場合にも発症することがあります。
●終わりに
この時期の猛暑は、熱中症だけでなく身体への様々な影響を及ぼします。
人間の基盤である水分はとても重要で、不足すると細胞レベルでの障害が生じます。
電解質をしっかり補給して、体内水分を保持するように心がけてください。
ポカリスエットやOS1など常備しておくといざという時に対処できます。
しかし、ポカリスエットは糖分を含みますので飲みすぎに気を付けて下さいね。
麦茶もミネラルを含みますので水よりは麦茶を選ぶことをお勧めします。
タブレット塩分などもあるのでカバンに入れておくと安心です。
皆様が、暑さに負けず日々を活き活きと輝けますように☆彡
7月16日に本校の学園祭がありました。
コロナが流行してから中止していましたが、学生が計画し準備している姿を見てその一生懸命さに学園祭の意味を考えさせられました。
本校の学生だけでなく卒業生も参加し、近所の方も来てくれてとても楽しめた学園祭でした。
私は、在校生の美脚講座と薬膳カレーを担当しました。
薬膳カレーは前日から学生と一緒に仕込みをしてちょっと大変でしたが、やけどやケガをしないように頑張る学生を見守っていました。
おかげで、とても心のこもった薬膳カレーを出すことができ、皆様から美味しかったとお声を頂きました。
全国では花火大会が再開されるなど日常が普通に戻り、本校も学校行事を実現できとても充実した夏になりました。
柔道整復師・鍼灸師
本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子
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こんにちは!! 日本医学柔整鍼灸専門学校 広報担当です。 川﨑先生コラムの第55弾をお届けいたします! スポーツカッピングで筋膜リリース カッピングとは、「吸角(きゅうかく)」「吸い玉」「抜罐(ばっかん)」などと呼ばれるもので、数千年にわたる中国医学療法の一つです。 カッピングは、道具や薬など医療が発達していない時代に、虫などの毒や化膿した傷の排毒排膿の目的で使用されていた道具でした。 昔は、口で吸い上げていたものを動物の角を使用するようになり、現在の方法に発展していったものです。 治療院などで使用する吸い玉の方法は、火とアルコールを使用し真空状態にしてガラス玉を患部に吸い付ける方法を用いられることが多いです。 吸い玉内の空気を抜いて陰圧を利用し、体内から体外へ皮膚面を引っ張る刺激を与えるのが吸い玉の特徴です。 しかし、火やアルコールを使用した方法は使用自体が複雑で火傷のリスクがある方法なので、簡便で安全に使用しやすい吸引ポンプを使用した方法を用いる治療院も多くなりました。 スポーツ現場では、火の使用や大掛かりな仕様のものは使いづらく、フィールドでもコンディショニングケアができる安全なシリコン製のカッピングを使用します。 シリコン製カッピングであれば、軽量でコンパクトなので持ち運びがしやすく身体の凹凸にも適応しやすいメリットがあります。 スポーツカッピング スポーツカッピングとは、シリコン製のカップを使用して筋肉や靱帯などの組織を吸い上げながらマッサージすることで組織間にすき間を生み出し、筋膜の癒着を剝がしていく方法です。 筋肉は筋膜という薄い結合組織で包まれています。 筋は、筋全体を覆う「筋外膜」、筋線維を束ねる「筋周膜」、筋線維を包む「筋内膜」の3つの構造になっており、筋膜はそれぞれの隣接する組織が擦れ合って摩擦が生じるのを防ぐ役割をしています。 筋膜はコラーゲンでできており約85%が水分です。 筋膜が癒着することはこの水分が血行不良により脱水状態になっています。 その状態で活動を繰り返していくと筋膜が引っ張られ筋肉や腱、靭帯に小さな傷をつけて瘢痕組織を作ることになります。 これが、柔軟性の低下や血行不良を引き起こす原因となり、正常な筋膜まで引っ張ってしまい体の動きを制限し、最終的にケガにつながってしまいます。 スポーツカッピングは、筋肉の使い過ぎや疲労が蓄積すると筋膜組織の萎縮や癒着が生じ動きが悪くなっていくのを予防・改善し、筋肉の柔軟性を引き出し、関節の可動域を拡大させ凝りや痛みを軽減させる効果的な方法として取り入れられています。 スポーツカッピングの効果 筋膜は、同じ姿勢の維持、歪んだ姿勢、筋疲労、筋肉痛、運動不足、ケガの後遺症、ストレス、水分不足、栄養不足などで硬くなり癒着を起こします。 基本的には血液循環不良がベースにあります。 効果としては、筋膜の癒着改善・関節可動域の向上・血流の促進・組織代謝の亢進・筋肉痛緩和などの効果が期待できます。 また、自律神経の調節や免疫機能の向上、ホルモンバランスの調節、そして、近年問題となっている女性アスリートの健康障害、婦人科問題などの改善も期待できます。 スポーツカッピングの使用方法 スポーツカッピングの使用は、練習の前・後、練習中や試合のハーフタイムに使用することがあります。 基本的な使用方法は、マッサージオイルを肌になじませ、シリコン製のカップを患部に吸着させて、ゆっくりとスライドさせていきます。 その他、シリコンカッピングを吸着したまま、可動域訓練や筋膜リリースを行う方法もあります。 私の場合、ケアの後にテーピングを使用することがあるため、テーピングと併用できるマッサージクリームを使用して行うことがあります。 スポーツ現場で使用するマッサージクリームやオイルはペパーミントの香りを使用するようにしています。 ペパーミントは、気分転換や心の疲労を癒す効果もありますが、運動時の集中力を高め運動効率が高まる効果があります。 選手の好みやコンディショニングに応じた香りを使用するようにしています。 カッピングの痕が気になる 個人差による程度の違いがありますが、吸引により毛細血管を拡張させるため、吸引した箇所は丸い赤黒い斑ができ濃い赤や紫色の痕が残ることがります。 血行が悪い人や代謝が低下している人、体質により身体の状態により濃い色になることがあります。 体調が良く健康な場合は、ピンク色になり斑はほとんど出ません。 通常は3~10日前後で消えますが、血行が悪い人ほど痕が消えるまでに時間がかかることがあります。 終わりに スポーツカッピングは、東洋医学と西洋医学の考え方を備えた施術方法です。 手技による施術より短い時間で効果が出せるところも利点です。 私自身は、スポーツアロママッサージと一緒に行うとより効果的だと感じているので併用しています。 スポーツ以外でも、デトックス効果による美肌、美顔、セルライトの除去、冷えの改善、むくみの改善、腸内運動を活性化することで便秘にも効果が期待できます。 また、アトピー性皮膚炎や慢性的な疲労回復や肩凝り腰痛などにも効果が期待できます。 将来の資格取得を考えている方で、美容やスポーツに興味がある方は、是非!!本校のオープンキャンパスに来てくださいね。 柔道整復師・鍼灸師 本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子]
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