こんにちは、日本医専です!
今回は、柔道整復学科の専任教員 川崎先生コラムの第67弾をお届けします!
柔道整復師が輝き続ける理由
柔道整復師が輝き続ける理由は、科学的な知識や手技の巧みさだけではありません。
それは、常に患者様の人生に真剣に向き合い「この人の力になりたい」という強い想いを込めているからです。柔道整復師の手技は、単なる治療を超えて、人々の人生をより豊かにする力を持っています。そして、日々誰かの人生に光を灯し続けています。

『ゴッドハンド』の正体は?
心と体を読み解く「推理力」柔道整復師です。柔道整復師と聞くと、「あの先生のゴッドハンドにかかれば、どんな痛みも消える」といった伝説を耳にすることがあります。
しかし、その『ゴッドハンド』の正体は、魔法でも超能力でもありません。単に不調を治すだけでなく、その人が諦めかけていた「日常」という幸せを取り戻す手助けをしています。
長時間のデスクワークで丸まった背中は、仕事への真摯な取組みの証。昔の捻挫をかばうように歩く癖は、スポーツに情熱を注いだ日々の記憶。無意識に食いしばる奥歯には見えないプレッシャーとの闘いの歴史が刻まれています。
柔道整復師が持つ『ゴッドハンド』の正体は、技術や知識、そして何よりも身体に隠された物語を読み解く、深い推理力と情熱の結晶なのです。
骨と筋肉の「名探偵」!柔道整復師は今日も事件の謎を解く
触れるだけで、その人の人生が見えてくる・・・・・今日の事件は何だろう?・・・
柔道整復師の仕事は、骨や筋肉に触れることから始まります。
しかし、触れているのは単なる組織ではありません。その手のひらには、患者様のこれまでの歩み、仕事のストレス、努力、趣味、そして心の状態までが伝わってくるのです。
「肩が凝る」「腰が重い」「パフォーマンスが向上しない」・・・そんなSOSは、まるで事件現場に残された手がかりです。
「真犯人」を突き止めます。
痛みのある部位だけを診るのではなく、パソコン作業での姿勢、スマホの見過ぎ、寝る時の癖、無理をしたスポーツ活動、過去のケガなど、身体に刻まれたすべての記録や背後にある関係性を読み解き、身体にそっと触れるだけで痛みの「真犯人」を突き止めます。
柔道整復師という名探偵の「手」は、単なるマッサージツールではなく、身体という名の事件現場に残された証拠を読み解く最高の推理ツールなのです。
身体の事件を解決する3つの武器
①リセットの技「リラクゼーションケア」
「事件」で疲弊した身体と心を、一度完全にリセットする技。
疲弊した身体と心に「もう休んでいいんだよ」と語りかけるのがリラクゼーションです。
まるで、頭を悩ませる刑事ドラマの登場人物が、温泉でリフレッシュするシーンのよう・・・・。
筋膜リリースやスポーツマッサージ、アロママッサージやリフレクソロジーなどの手技を用いて、
筋肉の緊張を解き、血流やリンパの流れを促すことで、深いリラックス効果をもたらし、心身のバッテリーをフル充電します。
この手技は、自律神経のバランスを整え、ストレスからくる不調を和らげる役割も担います。柔道整復師の温かい手が、患者様の心に安心感を与え、心身ともに深い癒しへと導いていき、身体は、「ありがとう、これでまた頑張れる」と応えてくれます。
②鍛え直しの技「トレーニング」
事件解決後も、再犯防止は重要です。弱った身体に、「もう一度、強くなろう」と語りかけるのがトレーニングです。柔道整復師は筋肉や骨格の構造を熟知しているため、最も効率的で安全なトレーニング方法を指導できます。
ただ、筋肉をつけるだけでなく、ひとり一人の身体の状態に合わせて、正しいフォームや負荷を調整することで、ケガのリスクを最小限に抑えながら、最大の効果を引き出します。外傷からの回復を目指すリハビリテーションの一環として、また、スポーツパフォーマンス向上や健康維持増進のためにも不可欠なものです。
力強く再生の道を歩み始め、二度と「事件」を起こさない強い身体作りをサポートします。
③最高の状態に導く「コンディショニングケア」
これは、まるで「特別捜査官」の仕事のよう。わずかな歪みや関節のずれを捜査していきます。
「最高の自分を表現していいんだ」と語りかけるのがコンディショニングケアです。
患者様の身体を総合的に評価し、その日の状態に合わせて手技を組合せます。筋肉の柔軟性を高めるストレッチ、疲労を素早く取り除くマッサージ、関節可動域を広げるモビリゼーションなど、複合的なアプローチにより、身体を最高の状態へと導きます。
これらは、アスリートが試合に臨む際の最終調整だけでなく、日々の生活を快適に送るためのメンテナンスとしても非常に重要です。
柔道整復師が輝き続ける理由「専門性と人間愛の融合」
柔道整復師は、痛みに耳を傾け、その言葉を理解し、そして患者様の望む未来をともに描いてくれます。
現代社会で輝き続ける理由は、その専門性と、人々の人生に寄り添う姿勢にあります。骨折、脱臼、打撲、捻挫といった怪我に対し、手術をしない「非観血的療法」を用いて治療を行う国家資格です。
単に怪我を治すだけでなく、患者の痛みや不安を和らげ、心身ともにサポートする姿勢が、医療現場だけでなく、多岐にわたる分野での信頼につながっています。
1.確固たる専門性
骨折・脱臼・捻挫など外傷に対する整復・固定は、自然治癒力を最大限に引き出すための科学的な医療行為です。また、手技療法や物理療法は、組織の修復を促し、痛みを和らげる明確な生理的効果をもっています。
2.広がる活躍の場
従来の治療院や病院の枠を超え、柔道整復師の活躍の場は広がり続けています。病院や接骨院(整骨院)だけでなく、スポーツトレーナー、介護・福祉施設、美容や予防医療の分野までその専門知識と技術は多岐にわたる分野で求められています。
①美容・予防医療の分野
リフレクソロジーや骨格や姿勢の歪みを矯正する施術は、美容や健康維持に関心の高い人々から注目されています。また、日常生活での身体の不調を未然に防ぐ「予防医療」の一環としても、身体のバランスを整える専門家として重要な役割を担っています。
②スポーツトレーナーとして
プロスポーツチームや実業団、アマチュアチームなどで、選手の怪我の予防、応急処置、リハビリテーションをサポートします。近年では、エンタメ業界で活動するパフォーマーやアーティストの身体ケア、さらにはパラスポーツの現場でも、選手の個々のニーズに合わせた専門的なサポートが求められています。


③介護・福祉施設
高齢者の身体機能の維持・向上を目的とした機能訓練指導員として、柔道整復師の需要が高まっています。利用者一人ひとりの状態に合わせたリハビリプランを立て、QOL(生活の質)の向上に貢献します。近年では、美容リハビリ(ハンドリフレクソロジー)が人気で、いつまでも美しく元気でいたい高齢者の需要が高まっています。
④独立・開業
多くの柔道整復師が自身の接骨院を開業し、地域住民の健康を支える「かかりつけの先生」として活躍しています。
終わりに
柔道整復師という仕事は、単に身体を癒すだけではありません。それは、傷ついた心に光を灯す、慈愛に満ちた営みです。痛みと不安に閉ざされた患者さんの目の奥にある、かすかな希望の光を見つけ出すこと。
そして、再び未来へと歩き出す勇気を手渡すこと。柔道整復師は、まさにそのために存在します。患者さんの身体に触れるその手は、単なる技術の道具ではなく、温もりと信頼を伝える唯一無二の手段です。言葉にできないほどの苦痛を、その手のひらから受け止め、心の奥底にまで寄り添う・・・・。
「治したい」と願う柔道整復師の想いが、患者さんの「治りたい」という切実な願いと重なり合うとき、奇跡は起こります。
固く閉ざされていた心が解き放たれ、痛みに蝕まれていた身体に、再び活力が満ちていく・・・・。
そして、痛みで顔を歪めていた患者さんが、見違えるほどの明るい笑顔を見せたとき。
その輝きこそが、柔道整復師がこの仕事に捧げた、すべての情熱と献身への答えです。
患者さんから贈られる「ありがとう」は、単なる感謝の言葉ではありません。
それは、絶望の淵から救い出された魂からの、心震える叫びです。
その一言一言が、柔道整復師の心を奮い立たせ、人生をかけてこの道を歩む究極の原動力となるのです。
柔道整復師・鍼灸師
本校柔道整復学科 専任教員 川﨑有子
