鍼灸師について

鍼灸師の廃業率は高い?開業失敗の原因と生き残るための対策

鍼灸師の廃業率は高いという話を聞き、独立開業に不安を感じている方もいるかもしれません。

鍼灸院の数は年々増加し競争が激化しており、技術力だけで成功するのは難しい時代です。

この記事では、鍼灸師の廃業に関する具体的なデータや、廃業に至る主な原因、そして厳しい競争を生き抜き成功するための具体的な対策について解説します。

鍼灸師の廃業率は本当に高い?気になる生存率の現実

鍼灸院の廃業率に関する公的な統計データは限定的ですが、関連データから厳しい状況がうかがえます。

例えば、開業から5年以内に廃業する鍼灸院の割合は約35%から40%とされています。

また、東京商工リサーチの調査では、鍼灸院を含む療術業の倒産件数が2018年に過去10年で最多を記録するなど、増加傾向が示されています。

全国の治療院数は14万件を超え、コンビニの約3倍にものぼると言われており、競争の激しさが廃業率を高める一因と考えられます。

鍼灸院の開業で失敗する主な原因5選

鍼灸院の開業において、失敗につながる可能性のある共通の原因がいくつか存在します。

技術力に自信がある場合でも、経営者としての視点が不足していると、廃業のリスクが増加する可能性があります。特に、「資金繰り」「集客」「リピート」「差別化」「立地選定」といった要素は、多くの鍼灸院が経営上の課題に直面しやすい点として挙げられます。

しかし、これらの5つの要素以外にも、「自分の院の軸の不明確さ」「単価設定の曖昧さ」「業務の過度な自己完結」なども失敗の原因となることがあります。

また、「競合の多さ」「顧客分析の不足」「サービス業としての視点の欠如」「仕組み化や自動化の不足」なども、経営を困難にする要因として指摘されています。

これらの失敗原因を事前に理解し、適切な対策を講じることが、安定した鍼灸院経営の実現に向けた重要な第一歩となります。

運転資金が尽きてしまう無計画な資金繰り

開業時の資金計画の甘さは、廃業に直結する大きな原因です。

店舗の契約金や内装工事、施術用ベッドや医療機器などの初期投資にばかり目が行き、運転資金の確保を怠るケースが少なくありません。

開業後すぐに売上が安定するとは限らず、少なくとも3ヶ月から半年分の家賃、水道光熱費、広告宣伝費、そして自身の生活費を含む運転資金が必要です。

売上がない状態でも経営を維持できる資金がなければ、良い技術を持っていても事業を継続できなくなります。

集客の知識がなく新規の患者さんが来ない

「腕さえ良ければ患者さんは自然と集まる」という考えは、現代の市場では通用しにくくなっています。

どんなに優れた技術を持っていても、院の存在を知ってもらえなければ来院には繋がりません。

ホームページやSNS、Web広告といったオンラインでの情報発信は不可欠です。

また、地域の特性に合わせたチラシのポスティングや看板の設置など、オフラインでの地道な活動も重要になります。

集客方法を学ばず、受け身の姿勢でいると、新規の患者さんが訪れない状況に陥ります。

リピートに繋がらない自己満足な施術

施術者が「良い施術ができた」と感じていても、患者さんの満足度が低ければリピートには繋がりません。

失敗する院は、患者さんの悩みや要望を十分にヒアリングせず、一方的に施術を進めてしまう傾向があります。

重要なのは、患者さんが何に困っていて、どうなりたいのかを正確に把握し、それに応える施術と分かりやすい説明を行うことです。

施術後の体の変化を実感してもらい、今後の通院計画を共有することで、患者さんは安心して通い続けられます。

周辺の競合院との差別化ができていない

現代では、鍼灸院だけでなく接骨院や整骨院、整体院、リラクゼーションサロンなど、競合となる施設が数多く存在します。

その中で「肩こり・腰痛専門」といったありきたりな特徴だけでは、患者さんから選ばれるのは困難です。

成功している院は、「美容鍼専門」「妊活サポート特化」「スポーツ障害に強い」など、ターゲットとする患者層や提供する価値を明確にしています。

自院ならではの独自の強みを打ち出し、他の鍼灸院との違いを明確にアピールできなければ、価格競争に巻き込まれてしまいます。

開業場所のコンセプトと立地が合っていない

院のコンセプトと開業場所のミスマッチも、失敗の要因となり得ます。

例えば、高単価の美容鍼灸をメインにするなら、所得層が高いエリアや商業地域の駅近くが適しています。

一方で、高齢者をターゲットに保険診療を中心に行うのであれば、住宅街の中やアクセスの良い1階の物件が望ましいでしょう。

家賃の安さだけで立地を選んでしまうと、ターゲットとする患者層がその地域にいない、あるいは来院しにくいといった問題が生じ、集客に苦戦することになります。

廃業リスクを乗り越え成功する鍼灸院になるための対策

鍼灸院を取り巻く環境は厳しいですが、失敗の原因を理解し、適切な対策を講じることで廃業リスクは大幅に低減できます。

成功する鍼灸院になるためには、技術力だけでなく、経営者としてのスキルが不可欠です。

具体的には「集客」「リピート」「経営戦略」「独自の強み」といった複数の側面から、計画的に取り組む必要があります。

ここでは、それぞれの具体的な対策について解説します。

【集客編】SNSやWebサイトを活用して新規顧客を獲得する

現代の集客において、Webの活用は必須です。

まずは、院のコンセプトや施術内容、料金体系を明確に伝える公式Webサイトを作成しましょう。

さらに、Googleビジネスプロフィールに登録し、地図検索(MEO)で地域の人に見つけてもらいやすくすることも重要です。

InstagramやX(旧Twitter)、LINE公式アカウントなどのSNSでは、ターゲット層に合わせた健康情報やセルフケア方法を発信し、潜在的な顧客との接点を作ります。

これらのツールを通じて継続的に情報を発信することが、新規顧客の獲得に繋がります。

【リピート編】リピート率を高めるコミュニケーションと次回来院の促し方

新規顧客の獲得コストは、リピーターの維持コストよりも高いと言われています。

安定経営のためには、一度来院した患者さんに継続して通ってもらうことが重要です。

そのためには、施術中の丁寧なコミュニケーションはもちろん、施術後に体の状態や今後の施術計画を分かりやすく説明することが不可欠です。

次回の来院目安を具体的に伝え、その場で予約を促す仕組みを作りましょう。

回数券の提案やLINEでの予約リマインドなども、リピート率向上に有効な手段です。

【経営編】美容鍼など単価を上げる自費メニューを導入する

保険診療のみに頼った経営では、収益に限界があります。

経営を安定させるためには、客単価を上げるための自費メニューの導入が効果的です。

例えば、美容鍼や不妊鍼灸、スポーツコンディショニング、あるいは特定の症状に特化した専門的な施術などは、高い付加価値を提供でき、高単価に設定しやすい分野です。

これらのメニューは、保険診療の患者さんとは異なる新たな顧客層を獲得するきっかけにもなり、収益の柱を増やすことに繋がります。

【経営編】事業計画書を作成し資金計画を明確にする

感覚的な経営ではなく、具体的な数値に基づいた経営判断を行うために、開業前に詳細な事業計画書を作成することが不可欠です。

事業計画書には、院のコンセプト、ターゲット層、提供サービスといった基本情報に加え、売上目標、賃料や人件費などの固定費、広告宣伝費などの変動費を詳細に盛り込みます。

これにより、損益分岐点が明確になり、どれくらいの売上が必要か、資金がいつまで持つのかを客観的に把握できます。

金融機関から融資を受ける際にも必須の書類です。

【スキル編】他の鍼灸院にはない独自の強みを作る

数多くの競合院の中から選ばれるためには、「この院にしか無い」と思わせる独自の強みが必要です。

それは特定の疾患(例:めまい、耳鳴り)に対する深い知識と技術かもしれませんし、スポーツ選手専門のトレーナー経験かもしれません。

また、カウンセリング能力に長けている、あるいは特定の施術法を極めているといった点も強みになります。

自身の経歴や得意なことを深く掘り下げ、他の鍼灸院が真似できないような専門性を磨き、それを明確に打ち出すことが差別化に繋がります。

鍼灸師の廃業に関するよくある質問

ここでは、鍼灸師の廃業や開業に関して、多くの方が抱く疑問について回答します。

鍼灸院の開業には最低いくら自己資金が必要ですか?

一概には言えませんが、鍼灸院の開業には運転資金を含めて最低でも300万円程度は必要とされます。

テナントを借りるか自宅で開業するかなど、物件の規模や立地で大きく変動します。

内訳は物件取得費、内装費、医療機器、広告費などです。

自己資金だけで不足する場合は、日本政策金融公庫などの融資制度を活用するのが一般的です。

高い技術力があれば集客しなくても成功できますか?

技術力だけで成功することは非常に困難です。

どれほど優れた技術を持っていても、その存在が地域の人々に認知されなければ来院には繋がりません。

WebサイトやSNSでの情報発信、地域での口コミなど、技術を届けるための集客活動は不可欠です。

高い技術力と適切な集客戦略の両方が揃って、初めて成功の可能性が高まります。

鍼灸院が多すぎると言われますが、今から開業しても遅いですか?

結論として、今からでも決して遅くありません。

確かに鍼灸院や接骨院、整骨院の数は多く競争は激しいですが、それだけ需要があるとも言えます。
重要なのは、他の院との差別化です。

特定の症状やターゲット層に特化するなど、明確なコンセプトと独自の強みを打ち出せば、後発であっても十分に成功するチャンスはあります。

まとめ

鍼灸師の廃業率は決して低いとは言えませんが、その原因の多くは技術力不足ではなく、資金計画の甘さや集客ノハウの欠如といった経営面の問題にあります。

廃業に至る共通の原因をあらかじめ理解し、事業計画の策定、Webを活用した集客、リピート施策、他院との差別化といった対策を着実に実行することが、安定した経営の実現に繋がります。

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